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2021年 東宝ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」@日生劇場 2021.2.7.Sun.夜公演
1964年にニューヨークで初公演がなされた作品です。日本では1967年の帝国劇場での初演から定期的に公演されており、多くの人から愛されるミュージカルとなっています。2021版で主演のテヴィエを務める市村正親さんは、2004年から継続してテヴィエ役として出演しています!!!15年以上同じ役を務めるというのは凄まじいことであると思います。しかも市村さんは2021年2月時点で72歳とのこと!体力勝負の舞台出演を、この歳で軽々とこなしているんです。私のおじいちゃんだったら、無理だよなぁとか思ってしまいました(笑)。体力は若々しくも、パフォーマンスからは成熟した男性にしか醸すことのできない雰囲気が感じられます。「この年齢」でしかできない役回りを、最大限に務めているように感じました。
🎊日生劇場2・3月公演 ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』開幕‼️東京公演は3/1(月)までの上演となります、皆様のご来場を日生劇場にて心よりお待ちしております。🌅🌄🐮🎻🎶#市村正親 #鳳蘭 #屋根の上のヴァイオリン弾きhttps://t.co/vnHjaA5qg0 pic.twitter.com/kn5mMtOaDB
— 東宝演劇部 (@toho_stage) February 6, 2021
【ストーリー】
舞台は1905年の帝政ロシア時代。お人好しで働き者の主人公テヴィエは小さな村で酪農業を営みながら、妻と5人の娘たちを可愛がり、貧しいながらも幸せな日々を送っていました。この村はユダヤ教徒が多く、テヴィエ一家もユダヤ教徒として暮らしていました。
テヴィエの娘たちは結婚について悩んでいました。ユダヤ教徒は厳格な戒律と“しきたり”に従って、「両親の祝福」が無ければ結婚は許されません。また、ユダヤ教徒以外の人間と結婚というのは禁忌であり、絶対に許されるものではありませんでした。
そんなある日、金持ちな肉屋のラザールから長女ツァイテルを後妻に迎えたいと申し出を受けたテヴィエは、酔った勢いでついつい結婚に同意してしいます。長女の結婚相手が見つかったことで妻のゴールデも喜びましたが、当のツァイテル本人は貧乏な仕立屋のモーテルと結婚を前提に交際をしていました。2人の愛に心動かされたテヴィエは、若い二人の結婚に同意します。しかしテヴィエは結果的に結婚の許しを同時に二つも出してしまったため、彼らの間でいざこざが生じてしまいます・・・
一方で、次女のホーデル・三女のチャヴァも良い相手を見つけて結婚を希望するも、彼女たちがユダヤ教徒である故になかなか上手くことが進みません。
テヴィエ姉妹の結婚問題が生じる中、社会ではユダヤ人弾圧の風潮が高まっていきます。ユダヤ教徒がマイノリティとして差別されるなかで、彼らはどう生きていけば良いのか。宗教の「しきたり」を重んじながらも、一人一人の意志に従った行動を選択していく姿が描かれています。
「屋根の上のヴァイオリン弾き」というタイトルから、バイオリニストの話かと思いがちですがそうではありません(笑)!そこに住むユダヤ人たちの生き様があたかも「屋根の上のヴァイオリン弾き」のようであるということから、比喩としてヴァイオリン弾きが登場しています。
【構成】
合計3時間25分(途中休憩25分含む)の2幕編成です!比較的上演時間長い方ですが、場面展開が多く、良い意味で体感時間は予想以上に短かったです!
物販はパンフレット(2,000円)のみ販売でした。公演前後、休憩中に2階ロビーで購入が可能です。
【ピックアップキャスト】
長女ツァイテル役の凰稀かなめに注目しました!凰稀さんは元宝塚歌劇団宙組トップスターで、現在も舞台を中心に活躍されています。ご年齢は38歳(2021年2月現在)とのことですが、めっっっっっっっちゃくちゃ若く見えました!というか、ご年齢を知って本当にびっくりしました。長女ツァイテルはおそらく10代後半〜20代前半の女の子であると思われますが、本当にそれぐらいの年齢の女の子のように感じられました。こんな自分がご年齢に触れるのも恐縮ですが、観劇していただければこの驚きを共感していただけると思います。
特に、父によって結婚相手が決められたことを本人が知るシーンはとても印象的でした。表情の演技がとても上手く、ツァイテルの気持ちが伝わってきました。ちょっとリアルな演技を見ると、観ているこちらの感情移入度も高まります…!
エネルギッシュで愛に真っ直ぐなツァイテルをつい、目で追ってしまいました(о´∀`о)
【感想】
「作品自体の魅力・キャストのパフォーマンス・セットや照明などの演出」この3つの要素全てのレベルが高く、とても充実したミュージカル観劇となりました!
[作品自体の魅力]
ミュージカルに関わらずユダヤ教に関する作品は多いですが、マイノリティであるユダヤ教徒が虐げられる内容が大半を占めています。しかしこの作品は、ユダヤ教徒がユダヤを絶対的に崇め、多教徒を卑下するという前提で話が展開されていきます。生まれた時からユダヤ教徒として育った人間たちが「ユダヤのしきたり」に従うのは当たり前のことですが、客観的に見ると少々異常なしきたりなのです。神秘的ながらも変わった宗教観を、観劇する我々が目の当たりにした時、それをどう受け止めるのかで楽しみ方も変わってくると思います。
社会情勢によって結果的にはユダヤ教徒のテヴィエたちも、ロシア帝国側からの悪影響を受けるわけですが、それでも前向きに生きていくことを選択します。そんな様子を見て、わたしも元気出して頑張らないとなぁと活力をもらえました!
[キャストのパフォーマンス]
総合的に出演者の歌唱力・演技力・ダンス力のレベルが高いように感じました。長年にわたって公演されており、さらには市村正親さんが主演ということで抜群の安定感が生まれていると思いました。
[セットや照明の演出]
舞台設定が小さな村ということで質素な感じを出しつつも、盛り上がるところは華やかに魅せる工夫がなされているように感じました。
途中途中にコミカルなシーンもあり、観ていて楽しいと思えるシーンが多いと思います!観劇を通して、作品が長年にわたって愛される理由がわかったような気がします・・・!
【スネ毛ちゃん評価】
総合評価:★★★★☆
初心者にオススメ度:★★★☆☆
「ユダヤ教徒」の考え方を前提知識として持っていると、作品がスムーズに理解できると思います!
ミュージカルファンにオススメ度:★★★★☆
まだ観たことがないという方は、1度観劇していただきたいな〜と思えました!
【公演期間】
・東京公演
2021年2月6日(土)〜3月1日(月)@日生劇場(東京・日比谷)
・愛知公演
2021年3月5日(金)〜3月7日(日)@愛知県芸術劇場 大ホール(愛知・名古屋)
・埼玉公演
2021年3月12日(金)〜3月14日(日)@ウェスタ川越 大ホール(埼玉・川越)
地方公演では珍しく、埼玉での公演も!ウェスタ川越は新しいホールでとても綺麗なので、快適に観劇できるかと思います。ぜひチケット情報をチェックしてみてください!!!
[ミュージカルのスネ毛ちゃん]
1996年7月生まれの24歳独身。大学時代にニューヨークで「オペラ座の怪人」を観劇し、ミュージカルにハマる。その後芸能事務所にタレントマネージャーとして入社。担当タレントがミュージカルに出演することになり、稽古場や会場に同行しているうちに「ミュージカルをもっと色々観劇して、多くの人に広めたい。」と思うように。そして2020年12月に退社、その後はバイトをしながらひたすらミュージカル観劇をしています。
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