ホリプロ ミュージカル「パレード」@東京芸術劇場 2020.1.23.Sat.
舞台稽古期間中にキャスト数名から新型コロナウイルス陽性反応があり、開幕が延期となりましたが、1/17に無事開幕を迎えました。命あってのエンターテインメントをこうして観劇できたありがたさを改めて実感しています。
【ストーリー】
こちらのミュージカル自体は1998年にアメリカ・ニューヨークのブロードウェイ公演から多くの指示を経て、日本でも公演されるようになりました。20世紀初頭のアメリカで実際にあった冤罪事件を題材にしています。
物語の舞台は、1913年アメリカ南部のジョージア州アトランタ。南北戦争終結から半世紀が過ぎても、南軍戦没者追悼記念日には、南軍の生き残りの老兵が誇り高い表情でパレードに参加し、南部の自由のために戦った男たちの誇りを歌いあげる。そんな土地で13歳の白人少女の強姦殺人事件が起こる。容疑者として逮捕されたのはニューヨークから来たユダヤ人の主人公「レオ・フランク」。殺された少女が働いていた工場の工場長だった。彼は無実にも関わらず様々な思惑や権力により、犯人に仕立て上げられていく。そんな彼の無実を信じ、疑いを晴らすために動いたのは妻のルシールだけだった。白人、黒人、ユダヤ人、知事、検察、マスコミ、群衆・・・・それぞれの立場と思惑が交差する中、人種間の妬みが事態を思わぬ方向へと導いていく・・・・。
【時代背景・前提知識】
作品を観劇する上で①南北戦争と②ユダヤ人問題の2点を知っておくと、ストーリーを飲み込みやすくなると思います。世界史を学んでいたり、歴史背景に強い方はわかりやすいかと思いますが、知らないと「なんでそうなる?」と思う場面が出てくるかもしれません。
①南北戦争
1861年から1865年にかけて、北部のアメリカ合衆国と合衆国から分離した南部のアメリカ連合国の間で行われた内戦。奴隷制存続を主張するジョージア州などの南部11州が合衆国を脱退してアメリカ連合国を結成し、合衆国にとどまったその他の北部23州との間で戦争。
南北戦争-Wikipedia
→タイトルの「パレード」は南北戦争終戦記念日に開催された記念パレードが由来となっています。
②ユダヤ人問題
「ユダヤ教」を信仰する人をユダヤ人と呼びます。アメリカでは「キリスト教」の信者が大多数を占めており、異教徒で少数派のユダヤ人は差別や迫害を受けている時期がありました。
→主人公のレオ・フランクと妻のルシールはユダヤ人であり、差別されるシーンがあります。
上記2点を前提知識として観劇すると、話がスッと入ってくるかと思います。これらに加えて、作品を理解するためにも事前に公式ホームページのあらすじやコラムを読んでおくことをお勧めします!
【構成】
2時間45分(途中休憩20分含む)の2幕構成です!
開演前後・休憩時間中にはロビーでグッズ販売が行われていました。
【ピックアップキャスト】
私の観劇回では、クレイグ役の武田真治さんが新型コロナウイルスに感染とのことで、田川景一さんへのキャスト変更がありました。
個人的には主人公レオ・フランク役の石丸幹二さんがMVPでした!出演者の歌唱力が全体的に高いカンパニーではありますが、石丸さんボイスが圧倒的であると感じました。品のある低音を、伸び伸びと、時にはパワフルに歌い上げる様は圧巻です。会場の一番後ろの席まで届いているような感覚です。
【感想】
簡潔に申し上げますと、病みます!!!笑
1番の理由は作品のストーリー自体にあります。主人公は免罪にもかかわらず逮捕され、なかなか報われません。さらには殺人の一件に関係のないユダヤ人・アメリカ北部出身というプロフィールが最悪の事態を招きます。これらが実話を元に作られたと考えると、より辛い気持ちになりました。しかし、我々がこういった歴史を知るということにおいて意義があるように感じました。差別やエゴが人生を狂わせる悲劇を目の当たりにして、今がどれだけ幸せなのだろうと思いさせられました。
社会的問題を題材にしていますが、無罪を主張するレオと、彼を支える妻のルシールの夫婦愛も見所です。世間からどんな批評をうけても彼を信じ抜き、支えゆくルシールの姿。そんな姿に改めて心打たれるレオ。そんな素敵でお互いのために頑張る2人が、ことごとく打ちのめされていく様は本当に心苦しいです。
作品は殺人犯の正体が明かされずに幕を閉じます。当時はDNA鑑定や防犯カメラなどの証拠がなかったため、「わからない」ということがよりリアルであると感じられました。主人公は限りなく白に近いですが、実際は証拠はどこにもなく、犯人と被害者しか真犯人を知る由がないのです。
心がだいぶ沈みました。なのに、観てよかったと思える作品でした・・・!
【スネ毛ちゃん評価】
総合評価:★★★★☆
初心者にオススメ度:★★☆☆☆
ミュージカルをいくつか観てからの観劇をお勧めします!素晴らしい作品ですが、初ミュージカルの人にとっては話が重すぎるかもしれません。
「バッドエンドの作品が好き!」という方はめちゃくちゃオススメです!
ミュージカルファンにオススメ度:★★★★★
社会情勢によって足掻いても報われない主人公。「ミス・サイゴン」を観た後のような感覚に陥ると思います。「あ〜、楽しかった!」という感情には決してならず、「作品に出会えてよかった」という気持ちになると思います。バッドエンドやぼやけた結末が嫌いな方はご遠慮ください(笑)
【公演期間】
2021年1月17日〜1月31日@東京芸術劇場プレイハウス(東京・池袋)
SS席:15,000円
S席:13,500円
サイドシート:9,000円
U25:5,000円(25歳以下限定チケット)
(全席指定・税込)
スネ毛ちゃんはU25(25歳以下限定)チケットで入場しました。土曜日の公演でしたが、2階席のセンタースペースの座席でした!
新型コロナウイルスの影響で座席は定員の50%までしか販売ができない状況です。お早めのチケット手配をお勧めいたします!笑

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